米国の生成AI活用は何が違う? Anthropic Interviewerが示す“現場の壁”

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はじめに

生成AIを導入したのに、現場の効果がいまいち見えない。
これには社内で“どう使われ、どう感じられ、どこで止まっているか”が見えていないことが原因の一つです。

この「見えない部分」を、Anthropicが調査しましたIntroducing Anthropic Interviewer: What 1,250 professionals told us about working with AI)!
これは、Claudeを使って10〜15分のインタビューを大規模に実施し、仕事でのAI利用の実態を調査したものです(2025年12月5日公開)。

本記事は、生成AIの利用が進んでいるアメリカでの現状を観測し、日本企業ではどのような対応が推奨されるかを整理してみます。

Anthropicは、なぜこのインタビューを行ったか

今回のインタビューで利用した「Anthropic Interviewer」は、AIに対する人々の考えを大規模かつ自動で調査するために、Claudeを基盤にAnthropic社が作成したツールです。

クラウドワーカー・プラットフォームを通じて募集された1,250人の専門家(一般の労働者、科学者、クリエイター)を対象として行われました。
なお、現在はClaude.aiのユーザー(Free、Pro、Maxプランの既存ユーザー)を対象としたパブリックパイロットも開始されており、ユーザーはClaude.ai上のポップアップなどを通じてインタビューに参加できるようになっています。

Anthropic社がこのような調査を行った理由は、単なる利用状況の把握を超えた、より深い洞察を得るためです。

以前の調査では、“Claudeとの会話の中で起きたこと”しかわかりませんでした。

しかし、重要なのは、その後、出力がどのように使われたのか。どう感じたのか。将来、AIに何を期待し、何を不安に思っているのか――こうした「チャット画面の外側」を理解する必要があったと感じたようです。

Anthropic Interviewerの内容

全体傾向としては、一般の労働者/クリエイター/科学者ともAIの影響を概ねポジティブに語る一方、仕事のコントロール感、職の置き換え(displacement)、自律性などの話題では慎重になる様子が示されていました。

なお、本調査の参加者はクラウドワーカー・プラットフォームを通じて従事していたため、参加者の経験は一般の労働者の経験とは大きく異なる可能性があり、生成AIに関しての回答はより肯定的または経験豊富な視点に偏っている可能性があることに注意が必要です。

対象定量ハイライト意見要約
一般の労働者(general workforce)86%「AIが時間を節約」/65%「仕事でのAIの役割に満足」/69%「職場でAIを使うことへの“周囲の目”(social stigma)に言及」/55%「将来への不安」 生産性は上がるが、職場の人間関係・空気が導入に影響。将来不安への対応として、AI利用に境界線を引く人や、役割を調整する人も。
クリエイター(creatives)97%「AIが時間を節約」/68%「仕事の品質が上がった」
一方、70%「同業者の目・評判を気にしながら使っている(peer judgment)」
便利さで生産性は上がるが、仕事が減る/市場が荒れるという意見がある。さらに「自分がコントロールしたい」気持ちは全員が持ちつつ、実際はAIが判断を主導する場面もあると語られている。
科学者(scientists)79%「信頼性・正確性への懸念が主要な障壁」/27%「現行AIの技術的限界に言及」科学者はAIとの“パートナー関係”を望むが、現状は仮説生成・実験設計などの中核は任せにくい、とされる。実際の利用は文献レビュー、コーディング、執筆などのタスクに寄りやすい。

結果を踏まえて日本企業はどう利活用を進めるべきか

Anthropic Interviewerの結果をもとにして、日本企業が生成AIをどのように進めると失敗しにくいかを整理します。

上記の結果から考えると導入の際には、「利便性」のみでは必ずしも浸透しないということです。周囲の目(言いづらさ/誤解されそう/評価が下がりそう)といったことが、ブレーキとして働いているからです。

ここを放置すると、使っている人は黙って利用し、成功が共有されず、組織内で浸透することはなさそうです。

そこで、以下のような方法でそれを防ぐことをしてみましょう。

  • ルールを決めて利用を推奨する
  • 利用したい人がいた場合の申請手順を決める
  • 「AIを使うことを推奨する」と上長が明言する
  • 小さな成功例をテンプレ化して配るなど、知識共有の場を作る

生成AIを利活用が進んでいるアメリカですら「利便性」のみでは必ずしも浸透しないので、生成AIの社内利活用を進める際には、ブレーキとして存在しているものを見極め、それを取り除く作業が必要になります。