【Ollamaブログ紹介】クラウドAIとローカルLLMの“いいとこ取り”を実現する新たなアプローチ Secure Minionsを紹介

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はじめに

生成AIの導入が進む中で、企業や組織にとって最大の懸念のひとつが「機密情報の取り扱い」です。特に医療・法務・金融といった分野では、ChatGPTのようなクラウド型AIに対して、データをクラウドに送ることそのものがリスクとされ、導入を見送るケースも少なくありません。

そんな課題を解決する新技術が、OllamaとStanford大学Hazy Researchが共同で発表したSecure Minionsです。

本記事では、Ollama公式ブログ Secure Minions: private collaboration between Ollama and frontier models内容をもとに、Secure Minionsの技術的仕組みや安全性、メリット・注意点わかりやすく整理・要約してご紹介します。

Secure Minionsとは?

Secure Minions は、Stanford 大学Hazy Research研究室が開発し、Ollamaと連携した「秘密保持に優れたローカル⇄クラウド連携プロトコル」です。

ローカルにある小型AI(例:GoogleのGemma 3:4b)が大量の情報を処理し、必要に応じてクラウドの大型AI(例:GPT-4o)に“協力”を求める構造です。一部をクラウドに送る従来の「Minions」では98%同等の精度を実現しつつコストを5〜30倍節約できました 。

特徴的なのは、機密情報を含むプロンプトを暗号化したままクラウドに送信し、安全なGPU内部でのみ処理できるという点です。つまり、「生のコンテキスト(全文)」はローカルに残し、クラウドへ送るのはローカルLLMが生成したメッセージ列(必要最小限の情報)で、そのメッセージは暗号化され、GPU TEE内でのみ復号され、処理された後、また暗号化して返信されます。

これにより、クラウドベンダーや第三者による“中身のぞき見”を防ぎつつ、最新の大規模モデルの性能を活用できるという仕組みです。

Secure Minionsの仕組み

  1. 秘密鍵交換
    ローカルデバイスクラウド側のH100 GPUが暗号鍵を交換します 。
  2. GPUの安全性証明
    H100 GPUが「確かに信頼できる安全設定下で動作している」と証明を送信。正規の安全モードであることを検証可能にします。
  3. 暗号化された安全な実行領域
    GPU内部は暗号化され、ホストや管理者でさえも中身にアクセスできません 。
  4. エンドツーエンド暗号化
    ローカルAIが生成したメッセージは、リモートGPUに送る前に暗号化。GPU側で復号・処理された後、また暗号化して返信。通過中も処理中も、プレーンテキストが一切クラウド側に出ない仕組みです 。

Secure Minionsのポイント整理

項目内容
送るデータ処理対象を、ローカルLLMがクラウドLLMに送る。ただし エンドツーエンド暗号化
クラウド側の処理NVIDIA H100などの Trusted Execution Environment(TEE) のみ復号&処理クラウド管理者すら中身を見られない設計。
❗️ 前提条件クラウド側GPUが「信頼できるTEE環境」で動いていることを確認する必要がある。
⚠️ リスク暗号化しても、「復号はクラウド内で行う」ため、クラウドのハードウェアに完全に信頼を置く必要がある。TEEの脆弱性などのリスクもゼロではない。

まとめ

Secure Minionsは、クラウドAIとローカルLLMの“いいとこ取り”を実現する新たなアプローチです。

機密情報を漏らさずにクラウドの力を借りたい──
そんなニーズを持つ企業にとって、大きな可能性を秘めた技術として今後の展開を期待します!