
はじめに
データ分析を学ぶ上で、いくつも本を購入しました。
まだまだ、買いたい本が複数あります。
しかし、そろそろ置き場に困ってきました。デカイ本は場所もとるし、本は結構値段も高い。
場所も取らず、値段も安いというメリットがある電子書籍にそろそろ切り替えようかなと思い始めています。
紙の本の方が学習効果が高いという噂
色々と噂を聞きます。
それは、電子書籍よりも紙の本の方が学習効果が高いという噂です。
以前聞いたことがある噂は、時間がかぎられている場合だと紙の本の方が学習効果が高く、時間がかぎられていない場合だと、ほぼ同じという検証が出たとのこです。
つまり、勉強する、学習をするという観点からは電子書籍が劣勢という噂です。
しかし、これらは10年以上前に聞いた噂です。
現在でもその噂は本当なのか
科学技術も人間自身も10年という時間単位では、進化や成長をすることが可能です。
そこで、コロナ過では、多くの電子書籍が購読された年である2022年では、電子書籍が劣勢という噂を覆してくれている研究がすでに出ているのではないかと思い、Google Scholarで調べてみましたので、要約を掲載いたします。
Google Scholarとは、ウェブ検索サイトのGoogleの提供する検索サービスの一つで、論文、学術誌、出版物の全文やメタデータにアクセスできます。
2015年の調査
初年次の解剖生理学において、電子書籍と従来の教科書を用いた場合の参加者数686名の学生の履修成果の検証ーインカーネイト大学(USAテキサス州 サン・アントニオ)
(Examining student course outcomes in first year anatomy and physiology using e-books versus traditional textbooks)
電子書籍と従来の教科書を使用した場合とを比較し、参加者数686名の学生の履修成果をデータ分析した結果、以下のことがわかった。
●学習成果(成功)は、使用した書籍の種類に依存しなかった。
●従来の教科書を使用した場合でも、電子書籍を使用した場合でも、有意な差は見られなかった。
こちらの調査では、電子書籍と従来の教科書を使用した場合の学習効果の比較に関して、差はみられなかったようです。
2016年の調査
インドネシアの農村学校における電子書籍と印刷書籍の有効性
(The Effectiveness of eBook versus Printed Books in the Rural Schools in Indonesia at the Modern Learning Era)
職業訓練生で12年生320名の総人口から64名を抽出し調査した。
●電子書籍を使用した学生の平均点は79.84点は、印刷された書籍を使用した学生の平均点は73.59点。電子書籍を使用した学生の方が5.573ポイント高いことが示された。
平均点で5点近く差がでているのは非常に大きいです。本調査では、電子書籍の方が印刷された書籍を使用した学生よりも学習効果が高いとの結論が明確に示されています。
2019年の調査
紙の本と Kindle で読んだ長いテキストの理解度の比較
(Comparing Comprehension of a Long Text Read in Print Book and on Kindle: Where in the Text and When in the Story?)
Kindleなどは、読者に提供される運動感覚や触覚のフィードバックに関して紙の本とは異なります。そこで、被験者50名(平均年齢24歳)に、28ページ(読書時間約1時間)の長編ミステリー小説をKindleまたは紙の本で読み、読解の様々なレベルを測定する調査を行い、以下のような結果がでました。
●読解力ではどちらもほぼ同じであった。
●文章を時間的・時系列的に正しく再構成する能力は、本で読んだ人の方が、Kindleで読んだ人よりも良い結果を示した。
本調査では、本で読んだ人の方が文章を時間的・時系列的に正しく再構成する能力で、Kindleで読んだ人よりも良い結果を示しました。Kindleでは運動感覚的なフィードバックが少ない。このことから、読者は、テキストの正しい空間表現、ひいては物語の一貫した時間構成を得るために、本のめくる動作が起因していることが示唆されています。
2022年の調査
電子書籍が生徒の数学の学力に及ぼす影響のメタ分析
(A meta-analysis of the effects of E-books on students’ mathematics achievement)
数学の電子書籍が従来の印刷された書籍に比べ生徒の数学の学力に与える影響を明らかにするために、メタ分析を行いました。2010年から2021年に発表された26の効果量の17の研究(N = 3115)からデータを収集した研究です。
●数学の電子書籍を利用することは、学生の数学の成績に対して高い効果(g = 0.82)を持つことが示された。
●電子書籍の利用は、大学レベルよりも低学年(例えば、幼稚園での数学の教授・学習)において高い効果を発揮していることがわかった。
●電子書籍は4週間以内の使用でより効果的である。
低学年や4週間以内の使用でより効果的であることが証明された。また、数学の電子書籍を利用すると従来の印刷された書籍に比べ高い効果(g = 0.82)があると示されています。
まとめ
以上をみてみると、2015年の調査結果では、書籍だろうが電子書籍だろうが、特に差はない。
2019年の調査では、文章を時間的・時系列的に正しく再構成する能力では、紙の書籍の方が効果が高い。
しかし、2018年、2022の調査結果では、電子書籍の方が学習効果が高いことが示されていました。
学習効果に関しては、2勝1敗1引き分けで電子書籍の勝ち越しです。
上記のメリットを考えると、勉強するための電子書籍の購入は全然ありです。
皆様も私と同じような悩みをお持ちだった方は、この調査結果で少しでも疑問が解消できたならば幸いです。
電子書籍リーダーについては、機能・価格等を考慮して一番バランスのよいAmazonのKindle Paperwhiteがオススメです。
使ってみた感想はこちらのブログ記事をご覧ください。
>>【レビュー】Kindle Paperwhite 第11世代(2021年発売モデル)
この機会に購入してみてはいかがでしょうか。